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犬の皮膚炎にクロルヘキシジンは効果的?正しい使い方と注意点を解説

2025年12月07日カテゴリ|コラム

犬の皮膚炎にクロルヘキシジンは効果的?正しい使い方と注意点を解説

シャンプーされる犬の腰
犬の皮膚炎の治療は、自宅での投薬やシャンプーが中心です。
「治療しても皮膚炎を繰り返す」
「赤みがなかなか治らない」
「シャンプーしても改善しない」
そんな愛犬の皮膚炎に悩む方も多いのではないでしょうか。
実は、犬の皮膚の炎症や感染に対してクロルヘキシジンという成分が有効な場合があります。

この記事では、クロルヘキシジンの効果や犬の皮膚炎への使い方についてわかりやすく解説します。
最後までお読みいただき、正しいクロルヘキシジンの使い方を理解しましょう。

クロルヘキシジンの効果

クロルヘキシジンは医療用の消毒薬で、人では手指の消毒や手術器具の殺菌などに使われています。
広い範囲の細菌に作用し、特に犬の膿皮症の原因となるグラム陽性菌(ブドウ球菌など)や真菌(マラセチアなど)にも効果があります。
クロルヘキシジンは殺菌作用が持続しやすく、じわじわと成分を放ち続ける特徴があります。
犬にも比較的安全に使えるので、クロルヘキシジンは犬の皮膚炎の治療として消毒液やシャンプーとしてよく使われています。

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クロルヘキシジンが使われる犬の皮膚炎

クロルヘキシジンは、

  • 膿皮症
  • アトピー性皮膚炎
  • マラセチア皮膚炎

という皮膚炎で使われます。
また、治療だけではなく日頃の皮膚炎の予防として、定期的なシャンプーに使われることもあります。

クロルヘキシジンを含むシャンプーや消毒液の使い方

緑色のボトルのシャンプー

犬の皮膚炎の治療にクロルヘキシジンを取り入れる方法としては、主に2つあります。
それぞれ詳しく解説します。

薬用シャンプー

クロルヘキシジンを含む薬用シャンプーは、皮膚全体を洗浄しながら細菌の増殖を抑えることができるシャンプーです。
定期的に使用することで、愛犬の皮膚の清潔さを保つことができます。
シャンプーする際は5〜10分ほど泡を皮膚にとどめてから洗い流すと、クロルヘキシジンがしっかり浸透します。
また、シャンプーの頻度は週1〜2回程度が一般的です。
しかし、犬の皮膚の状態によりシャンプーの使い方も変わります。
シャンプーの濃度や頻度が高すぎると逆に皮膚炎を悪化させるので、必ず動物病院で指示された製品や頻度を守りましょう。

消毒液

皮膚の一部に感染や傷がある場合にも、クロルヘキシジンを含む消毒液が処方されることがあります。
コットンやガーゼに消毒液を含ませて、皮膚に直接塗布するのが一般的な使い方です。
この場合も濃度や頻度が高すぎると逆に皮膚炎を悪化させるので、必ず動物病院で指示された濃度や頻度を守りましょう。

クロルヘキシジン使用時の注意点

クロルヘキシジンはさまざまな使い方がある便利な成分ですが、使い方を誤ると皮膚トラブルを悪化させる可能性があります。
クロルヘキシジンを使用する時には、次の点に注意しましょう。

  • 高濃度で使用しない
  • 膣や耳などには使用しない
  • シャンプー後はしっかり洗い流す
  • 異常が見られたらすぐに使用を中止する

人において高濃度で使用した時に、アレルギー反応の発生が報告されています。
そのため、深い傷には約0.05%、外陰部などのデリケートな部分には約0.02%の低濃度で使うことが多いです。
また、皮膚のダメージや乾燥が強い時には、皮膚の刺激になってしまう可能性があるので、使う前は動物病院に確認しましょう。

クロルヘキシジン以外の治療法

犬の皮膚のアップ

犬の皮膚炎の治療には、クロルヘキシジンの他にもさまざまな方法があります。
具体的には、

  • 抗菌薬
  • 消炎剤
  • サプリメント
  • 保湿ケア
  • 療法食

などがあります。
もし愛犬の皮膚炎が治りにくいときは、皮膚科での診察を行うと新しい治療が見つかるかもしれません。
小さな異変でも、気づいたときには早めに受診しましょう。

まとめ

犬の皮膚炎は慢性化しやすく、長期間治療を継続しなければならないケースがあります。
そんなときにクロルヘキシジンは、皮膚炎の改善や再発防止に役立ちます。
ただし、濃度や使用頻度を誤ると皮膚炎を悪化させる可能性があるため、必ず獣医師の診察を受けて使用しましょう。

当院は皮膚の診察に力を入れています。
愛犬の皮膚炎が治りにくかったり、クロルヘキシジンの使い方に迷ったりした際は、いつでもご相談ください。

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犬の心臓病治療で使う強心剤とは?薬の効果や使用される場面をわかりやすく解説

2025年11月28日カテゴリ|コラム

伏臥位の茶色い犬

犬の心臓病治療で使う強心剤とは?薬の効果や使用される場面をわかりやすく解説

愛犬に心臓病が見つかり、獣医師から「強心剤を使いましょう」と言われたら、愛犬の状態がどれほど悪いのかと不安になる飼い主様は多いのではないでしょうか。
強心剤がどんな薬で、どんなときに使われるのかを知っておくと、治療にも安心して向き合いやすくなります。

この記事では、犬に使われる代表的な強心剤「ピモベンダン」を中心に、強心剤の効果や副作用、服用させるときの注意点などをわかりやすく解説します。
強心剤への理解が深まることで治療に対する不安を少しでも軽くできたら幸いです。

強心剤のはたらき

強心剤は心臓の働きが低下して血液をうまく全身に送り出せなくなったときに、心臓のポンプ機能をサポートする薬です。
強心剤は心臓の収縮力を高めるはたらきによって心臓の負担を減らし、全身への血流を保つ効果が期待されます。

犬でよく使う強心剤「ピモベンダン」

診察を受けるヨークシャーテリア

犬の心臓病の治療では、「ピモベンダン」という強心剤が最も広く使われています。

ピモベンダンには心臓の収縮力を高めると同時に血管を広げる作用があり、心臓の負担を軽減する効果が期待できます。
また、飲み薬なので飼い主様でも与えやすく、副作用も比較的少ないことから、長期間の服用にも適した薬です。

まれに食欲不振や嘔吐、下痢といった副作用が出ることがあります。
もし気になる症状が見られたら、早めに獣医師に相談しましょう。

僧帽弁閉鎖不全症におけるピモベンダンの使用

僧帽弁閉鎖不全症の治療にもピモベンダンが使われています。

僧帽弁閉鎖不全症は弁がうまく閉じず血液が逆流する病気です。
血液の逆流があると心臓に余計な負担がかかるため、徐々に心臓が大きくなっていきます。
発症するのは中高齢の犬に多く、初期のうちは無症状のことも多いですが、進行すると咳や呼吸困難などが現れます。

以前までの僧帽弁閉鎖不全症の治療では、症状が現れてからピモベンダンを使用するのが一般的でした。
しかし最近の研究で、ピモベンダンを初期の段階で投与すると症状が出るのを遅らせることができ、結果的に寿命も延びることが示されました。

現在では、エコーやレントゲンで心臓の拡大が確認されれば、症状がなくてもピモベンダンが積極的に投与されるようになっています。

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ピモベンダン以外の強心剤が使用されるケース

心臓病の種類や症状の重さによっては、ピモベンダン以外の強心剤が使われることもあります。

ジゴキシンを使うとき

心房細動などの不整脈を伴う病気では、心拍数を落ち着かせて心臓への負担を軽くする作用のあるジゴキシンという飲み薬が使われることがあります。
ジゴキシンは長期的に使うこともでき、効果が強い一方で、中毒を起こしやすいというデメリットがあります。
薬の使い始めは特に、食欲不振や嘔吐などの副作用に注意しましょう。

強心剤の注射薬を使うとき

今まで紹介してきた飲み薬のほかに、ドブタミンという注射や点滴で投与する強心剤もあります。
最近ではピモベンダンの注射薬も登場しました。
これらの注射薬は、急性の心不全や入院管理が必要な重症例などで状況に応じて一時的に使われます。
状態が安定したあとは、内服薬に切り替えて治療を継続するのが一般的です。

強心剤を自宅で飲ませるときの注意点

強心剤は、毎日決まった時間に正しい量を与えることで、安定した効果が得られます。
空腹時や食後など、飲ませる時間の指示がある場合は、必ず守りましょう。
また、症状が落ち着いたように見えても、自己判断で薬をやめたり量を減らしたりするのは危険です。
強心剤は心臓病を治す薬ではありません。
「元気そうだから」「咳が出なくなったから」といった理由で薬の量を変えてしまうと、状態が悪化することもあります。
処方された薬は指示に従って飲ませることを心がけましょう。

まとめ

ボールを咥えて走るチワワ

強心剤は心臓の動きをサポートし、犬の生活の質を保つうえで欠かせない薬です。

中でもピモベンダンは、安全性と効果のバランスが良く、長期的な治療にも使われる代表的な強心剤です。
最近の研究では、僧帽弁閉鎖不全症の犬に早期からピモベンダンを投与すると予後の改善が期待できると報告されています。

ただし、強心剤はあくまで心臓の負担を軽くする薬であり、病気そのものを治すものではありません。
安定した効果を得るためには、処方された薬は自己判断で減らしたり止めたりせず、獣医師の指示を守って与えることが大切です。

当院は心臓病の診察に力を入れており、多くの症例を経験しています。
治療内容や薬に関して心配なことがあれば、どうぞお気軽に獣医師にご相談下さい。

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犬の僧帽弁閉鎖不全症で見られる咳とは?他の症状や対処法を解説

2025年11月21日カテゴリ|コラム

横を向いて口を開けている犬

犬の僧帽弁閉鎖不全症で見られる咳とは?他の症状や対処法を解説

犬の僧帽弁閉鎖不全症は、高齢の小型犬に多く見られる病気です。
心臓の「僧帽弁」という弁がぴたりと閉じなくなり血液が逆流することで、咳などの症状が現れる病気です。
「最近、愛犬が咳をする頻度が増えてきた」
「動物病院で心雑音があると言われた」
もしかしたらそれは僧帽弁閉鎖不全症かもしれません。

今回はこの僧帽弁閉鎖不全症の咳について詳しく解説します。
最後までお読みいただき、僧帽弁閉鎖不全症と咳について理解を深めていきましょう。

犬の僧帽弁閉鎖不全症で見られる咳の特徴

僧帽弁閉鎖不全症の代表的な症状のひとつが咳です。
この咳は、単なる気管の刺激によるものとは異なり、心臓が大きくなり気管を圧迫することで起こります。

具体的な咳の特徴として、

  • 寝起きや興奮したときに咳をする
  • 夜間や早朝に咳が出る
  • 運動後に咳が増える

などがあります。
ただし、僧帽弁閉鎖不全症の犬は同時に呼吸器の病気を併発することが多いとされています。
咳の頻度やタイミングで、僧帽弁閉鎖不全症とそのほかの病気を見分けることは難しいです。
「たかが咳だから」と思って様子を見ていると、実は僧帽弁閉鎖不全症のような重大な病気が隠れていることもあります。

犬の僧帽弁閉鎖不全症の症状 

うとうとしているゴールデンレトリーバー

犬の僧帽弁閉鎖不全症では、咳以外にもさまざまな症状が見られます。
具体的な例として、

  • 疲れやすい様子ある(運動不耐)
  • 呼吸が早くなる(呼吸促拍)
  • 倒れることがある(失神)
  • お腹が膨らむ(腹水)
  • 舌の色が紫色になる(チアノーゼ)
  • 血を吐く(喀血)

などが見られます。
咳以外の症状が見られた場合も、僧帽弁閉鎖不全症を疑う必要があるでしょう。

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犬の僧帽弁閉鎖不全症のステージ分類

僧帽弁閉鎖不全症は、アメリカ獣医内科学会(ACVIM)の基準で以下のようなステージに分けられます。

ステージA 心臓に構造的な異常(血液の逆流など)は認めないが、犬種的に心疾患のリスクがある。
ステージB1 心臓に構造的な異常(血液の逆流など)があるものの、症状はなく、心拡大もない。
ステージB2 心臓に構造的な異常(血液の逆流など)があり、症状はないものの、心拡大がある。
ステージC 現在あるいは過去に心不全の兆候(肺水腫など)の既往があり、標準的な治療に十分反応する。
ステージD 現在あるいは過去に心不全の兆候(肺水腫など)の既往があり、標準的な治療に十分反応しない。

咳が頻繁に出るようになるのはステージB2以降のことが多いです。
ステージB2では、ガイドライン上では投薬による治療が推奨されています。

犬の僧帽弁閉鎖不全症の検査

獣医師の手術室の様子

僧帽弁閉鎖不全症は、以下のようないくつかの検査を組み合わせて診断します。

聴診

聴診器で心雑音の有無や強さを確認します。

レントゲン検査

心臓が大きくなっていないか、肺が白くなっていないかなどを確認します。

心エコー検査

僧帽弁での血液の逆流の有無や心臓の大きさを測定します。

血液検査

心臓以外の臓器にも異常がないかチェックします。

血圧検査

血圧が高かったり低かったりしないか確認します。

僧帽弁閉鎖不全症の治療法

犬の僧帽弁閉鎖不全症の治療もACVIMからガイドラインが出ています。
治療の基本は内科的な投薬治療で、

  • 血管拡張薬
  • 利尿薬
  • 強心薬

などが使用されます。
僧帽弁閉鎖不全症の治療は投薬治療の他に、食事療法や手術による外科的な治療も選択肢です。
手術には専門的な設備が必要なので、心臓専門の動物病院に相談しましょう。

犬の僧帽弁閉鎖不全症で起こる咳の対処法

犬の僧帽弁閉鎖不全症で起こる咳は、治療とともに減っていくことが多いです。
治療が順調に進んでいない場合は、咳の頻度が増えたり、湿った咳をしたりするようになります。
その際は肺水腫の可能性があるので、速やかに動物病院に相談をしましょう。
僧帽弁閉鎖不全症と同時に呼吸器のトラブルを併発している場合は、僧帽弁閉鎖不全症の薬の他に、咳止めや気管支拡張薬を併用することがあります。
僧帽弁閉鎖不全症の治療だけで咳が減らない場合は、追加で薬が必要なのか相談してみましょう。

まとめ

犬の僧帽弁閉鎖不全症は、早期発見・早期治療がとても重要です。
僧帽弁閉鎖不全症は適切な薬の投与や生活管理により、長く穏やかに過ごすことが可能です。

当院では僧帽弁閉鎖不全症の診察に力を入れています。
軽い咳でも放置せず、いつでもご相談ください。

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犬が「カハッ」と咳をする原因とは?考えられる病気や治療を解説

2025年11月14日カテゴリ|コラム

咳をする茶色い犬

犬が「カハッ」と咳をする原因とは?考えられる病気や治療を解説

犬はさまざまな原因で咳をします。
「カハッ」「ケホッ」という乾いた咳をするもあれば、「ゴホゴホ」という湿った咳をすることもあります。
「風邪かな?様子を見れば治りそう。」
「喉に何か詰まったのかな?」
そのように軽く考えて、様子を見ていませんか?
実はその咳には、命に関わる病気が隠れている可能性があります。

この記事では、犬の咳の主な原因や病気の種類、診断、治療法について詳しく解説します。
最後までお読みいただき、犬の咳について理解を深めていきましょう。

犬の咳の主な原因

犬が咳をする原因は大きく分けて「呼吸器の病気」と「心臓の病気」によるものがあります。
呼吸器の病気としては、

  • 気管虚脱
  • ケンネルコフ
  • 肺炎
  • 肺腫瘍
  • 慢性気管支炎

などがあり、心臓の病気としては、

  • 僧帽弁閉鎖不全症
  • 肺高血圧症
  • フィラリア症

などがあります。
それぞれを詳しく見ていきましょう。

気管虚脱

気管虚脱とは、本来円柱の気管が加齢とともに扁平化し、空気の通り道が狭くなる病気です。
この病気は、チワワやポメラニアン、ヨークシャーテリアなどの小型犬に多く見られます。
気管虚脱が進行すると「ガーガー」という特徴的な咳を起こします。
そのまま呼吸困難に陥ることもあるため、早めの診察が必要です。

ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)

ケンネルコフは犬の咳の原因として代表的な感染症です。
感染の原因となる病原体は、

  • 犬パラインフルエンザウイルス(CPIV)
  • 犬アデノウイルス2型(CAV-2)
  • 犬コロナウイルス(CCoV)
  • ボルデテラ・ブルテリ(Bordetella bronchiseptica)
  • マイコプラズマ属(Mycoplasma spp.)

などがあります。
乾いた咳が数週間続くことがあり、複数の犬が集まる環境で感染することが多いです。

肺炎

肺炎は、細菌やウイルスなどによって肺に炎症が起こる病気です。
湿った咳や発熱、食欲低下を伴うことがあります。
嘔吐を繰り返すことで、吐物による誤嚥性肺炎も多く起こります。

肺腫瘍

肺腫瘍は高齢犬に多く見られる原因の一つです。
肺腺癌や組織球性肉腫など、悪性の腫瘍が多いと言われています。
初期は無症状のこともあり、咳が現れる時にはすでに進行していることもあるので、注意が必要です。

慢性気管支炎

慢性気管支炎は、アレルギーや環境中の物質が原因となり、慢性的に気管支炎が起きる病気です。
投薬だけではなく、部屋の湿度や温度を適切に管理するなど対処が必要な病気です。

僧帽弁閉鎖不全症

僧帽弁閉鎖不全症は中高齢の小型犬に多く見られる病気です。
心臓には4つの部屋がありますが、そのうちの左心房と左心室の間にあるのが僧帽弁です。
僧帽弁閉鎖不全症では、僧帽弁がぴたりと閉まらなくなり血液が逆流します。
これにより心臓が大きくなり、気管を圧迫することで咳が出ます。

肺高血圧症

肺高血圧症は、何らかの原因で肺動脈の血圧が上がることで、咳や呼吸困難が現れる病気です。
完治が難しく、専門的な検査や治療が必要な病気になります。

フィラリア症

フィラリア症は、蚊を介して感染する寄生虫(犬糸状虫:Dirofilaria immitis)が心臓や肺動脈に寄生し、咳や運動不耐を引き起こす病気です。
現在はフィラリア予防が普及しこの病気の発生も少なくなりましたが、一度感染すると長期間の治療が必要になります。

犬の咳以外に注意すべき症状

うつ伏せで寝る白黒の犬

咳だけでなく、次の症状が見られる場合は早急に診察が必要です。

  • 呼吸が速い
  • 呼吸が苦しそう
  • 舌や歯茎が紫色になる(チアノーゼ)
  • 食欲がない
  • 元気がなくぐったりしている
  • 鼻水が出ている
  • 発熱している

これらの症状がある場合は、病気がすでに進行している可能性があります。

犬の咳の治療方法

横を見る白い犬

犬の咳の治療は、その原因により様々です。
それぞれの原因に対する治療法を解説します。

感染症(ケンネルコフ、肺炎など)

感染症の治療として、抗生剤や抗ウイルス薬を使用します。

気管虚脱

気管虚脱は、鎮咳薬などの内科治療のほか、気管を広げる手術を行う場合もあります。

心臓病(僧帽弁閉鎖不全症、肺高血圧症など)

心臓の病気は、心臓の状態に合わせた投薬(血管拡張薬、利尿薬、強心薬など)による治療が中心です。

肺腫瘍

犬の肺腫瘍は悪性のものが多いため、手術による治療が中心となります。

まとめ

犬の咳にはさまざまな原因があり、その中には命に関わる病気も含まれます。
早期に原因を見つけ治療をしてあげることで、症状の悪化を防ぐことができます。

当院では、心臓病の診察に力を入れています。
軽い咳でも様子を見ずに、まずは気軽にご相談ください。

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犬の僧帽弁閉鎖不全症と利尿剤|命を守る大切な薬

2025年11月07日カテゴリ|コラム

こちらをみているキャバリア

犬の僧帽弁閉鎖不全症と利尿剤|命を守る大切な薬

犬の心臓病の中でもっとも多いのが「僧帽弁閉鎖不全症」です。
僧帽弁閉鎖不全症が進行すると心臓の働きが弱り、肺や体に水分がたまってしまいます。
たまった水分は肺水腫や呼吸困難など危険な状態を引き起こします。

そのような状態を改善するために使われる薬が利尿剤です。
利尿剤は体にたまった余分な水分を外に排出し、呼吸を楽にしてくれます。
しかし、命を守る効果がある一方、服用にあたっては注意も必要な薬です。

この記事では、利尿剤の働きや服用時の注意点などについてわかりやすくご紹介します。
飼い主様が安心して僧帽弁閉鎖不全症の治療に向き合える助けとなれば幸いです。

僧帽弁閉鎖不全症とは?

僧帽弁閉鎖不全症とは、その名のとおり心臓の僧帽弁がきちんと閉じなくなってしまう病気です。
本来、肺から送られてきた血液は左心房から左心室へ流れ、そこから全身へ送り出されます。
僧帽弁の役割は、左心室から左心房への血液の逆流を防ぐ「扉」です。

加齢などの影響で僧帽弁がしっかり閉じなくなると、血液が左心房へ逆流します。
逆流は心臓や肺にとって大きな負担です。
負担がかかった状態が続くと心臓の働きは少しずつ弱まり、やがて余分な水分が体にたまってしまいます。
水分が肺にたまると「肺水腫」と呼ばれ、命に関わる状態になることもあります。

僧帽弁閉鎖不全症は初期のうちは症状が目立ちません。
ただし、進行すると以下のような変化が見られます。

  • 咳が増える
  • 呼吸が苦しそうになる
  • 元気がなくなる
  • 食欲が落ちる

利尿剤の働きと種類

シートに入っている薬

利尿剤は、腎臓に作用して体の中にたまった余分な水分を尿として外に出す薬です。
心臓の働きが弱くなると、血液の循環が滞り、体に水分が溜まりやすくなります。
水分が肺や胸にたまると、咳や呼吸困難といった深刻な症状を引き起こす原因となります。

利尿剤は余分な水分を排出して呼吸を楽にし、心臓への負担を和らげる薬です。
まさに「命を守る薬」のひとつです。

利尿剤にはいくつか種類があり、症状の重さや体の状態に応じて使い分けられます。

ループ利尿剤

最もよく使われる利尿剤です。
速やかに強い効果を発揮して余分な水分を排出します。
肺水腫など急を要する症状にも使われることが多いです。

サイアザイド(チアジド)系利尿剤

効果はループ利尿剤より穏やかですが、長く作用するのが特徴です。
ループ利尿剤だけで十分な効果が得られない場合に併用されます。

抗アルドステロン薬

ホルモンの働きを抑えて体に水分や塩分がたまるのを防ぐ薬です。
心臓への負担を減らすほか、腎臓を守る効果も期待できます。

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利尿剤服用中の注意点

利尿剤は僧帽弁閉鎖不全症の治療で欠かせないとても大切な薬です。
ただし、服用にあたっては「脱水」に注意する必要があります。

利尿剤は体内の余分な水分を尿として排出するため、尿の量が増えます。
しかし、水分の摂取量よりも排出量が多くなると、体内の水分が不足して「脱水」を起こすおそれがあります。
脱水が進むと血液の流れが悪くなり、腎臓への負担となります。

「水分がたまる病気だから」「尿の量が増えて心配だから」といって飲水を制限することはおすすめできません。
いつでも新鮮なお水が飲めるようにしておくことが、愛犬の体を守る上でとても重要です。

家庭でできる体調チェック

仕事をしている人に抱っこされている白い犬

利尿剤の服用中は、定期的なチェックがとても大切です。
動物病院では血液検査や尿検査で体の状態を確認しますが、ご家庭での観察も診断や治療に欠かせない情報になります。
普段の様子をしっかり記録し、診察のときにメモを持参すると、より適切な治療につながります。

ご家庭で観察してほしいポイントは次のとおりです。

  • 飲水量:急な増減がないか
  • 排尿の回数や量:回数や量の変化がないか
  • 体重:週1回測定し、増減がないか
  • 安静時の呼吸数:寝ているときに胸の上下を1分間数え、多くなっていないか
  • 咳:夜間や明け方に増えていないか
  • 元気や食欲:普段の様子と比べて落ちていないか

これらの変化は、病気の進行や利尿剤の効き具合を判断する大切な手がかりです。
飼い主様の観察が、愛犬の命を守る大きな助けになります。

まとめ

僧帽弁閉鎖不全症は、進行すると肺や胸に水がたまり、呼吸困難を引き起こす危険があります。
治療に欠かせないのが利尿剤です。
利尿剤は体にたまった余分な水分を排出し、呼吸を楽にして心臓への負担を減らす「命を守る薬」です。

ただし、利尿剤には脱水とそれに伴う腎臓への負担といったリスクもあります。
脱水を防ぐため、いつでも新鮮な水が飲めるようにしてあげましょう。

定期的な血液検査だけでなく、ご家庭での観察も治療の重要な一部です。
日々の小さな変化を記録することが、病気の進行や薬の効き方を把握する大きな手がかりになります。

毎日の観察と定期検査を続けることが、愛犬の命を守る最も確実な方法です。
少しでも不安や疑問があれば、遠慮なく獣医師に相談してください。
愛犬の健康を守るために、私たちと一緒にできることを考えていきましょう。

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〒610-0354 京都府京田辺市山手南2丁目1-3

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※19:00~19:30:予約診察(要予約)、前日までに受付・お電話・LINEにてご予約下さい。
※12:00~16:00:往診可(要予約)
※09:00~17:00:トリミング(要予約)

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(松井山手交差点の南西角です)

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当院横(ハチセンビル3号館東側)①~⑤、
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もし、全ての駐車場が一杯だった場合、
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駐車券・利用証明書をご持参いただければ、
受付にて精算をさせていただきます。

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